1年3ヶ月ぶりのブログ更新です。(笑)
どんなんやねん!ってツッコミ入りそうですね。
いやいや怒涛の一年間でした。
一年どころの騒ぎではないような気もしますが。(笑)
さて、本日、念願の当社初本格的オリジナル万年筆の発売となりました。
その名も“徳兵衛 -TOKUBEI-”。
近松門左衛門の曽根崎心中の登場人物、
お初と徳兵衛から名前を頂きました。
何故、徳兵衛なのかということですが、
当社の発祥の地は、大阪は梅田、曽根崎です。
祖父が戦後のヤミ市であった、梅田一丁目、
大阪駅前第3ビルの建つ前に文房具の販売店を
法人化したのが当社の始まりです。
曽根崎にはお初天神の名前で知られている
露天神社(つゆのてんじんじゃ)があり、
露天神社は大阪キタエリアの総鎮守であると共に、
先に申し上げた近松門左衛門作の世話物浄瑠璃、
「曽根崎心中」の舞台でもあります。
私自身、5、6年前から毎朝、露天神社に日参を続けています。
特に信心深くはない私ですが、いざ通い始めるとやめられず、
もう何年も続けられていることのひとつです。
最初はお願いごとが多かったように思いますが、
今ではご報告と感謝の念をお伝えすることが多いように思います。
そんな中、数年前より始めた大阪の地名を使って
色を表現する万年筆用のオリジナルインクの販売に続いて、
オリジナルの万年筆を作りたいという思いが
ふつふつと湧いてきました。
何かに思いを寄せて製品のデザインやコンセプトを考えるということは、
とても難しいことである一方、とてもやりがいのあることです。
今回は2016年に発売をしたオリジナルインクブランド、
水都の中から、露天紫雨と同系色で高貴な紫をイメージし、
かつ当社の創業の地、梅田、曽根崎の総鎮守である露天神社にまつわる
お初と徳兵衛の物語の中から、徳兵衛の着物を表現したボディカラーの
万年筆を製作しました。
金属部品はあえてシルバーやゴールドではなく、
ブラックIP仕上げのものを採用し、煌びやかなイメージではなく、
近松門左衛門の浄瑠璃の最後の段、
「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」に沿う、
グッと引き締まるイメージに仕上げました。
発売に先立ち、2017年10月5日に、
この万年筆が良いご縁を結びますよう、
露天神社にご祈祷に伺い、万年筆の販売だけでなく、
我々の志事(しごと)がご縁を豊かに繋ぐお手伝いができるように
お参りをしてまいりました。
日参しているにも関わらず、なんだか緊張し、
とても厳かな空気感の中で感謝の意を願いに込められたと思います。
あきないをしていると、不思議なものですが、
我がの力以上にご縁をいただくことがあります。
ひと昔前はそのご縁を勘違いすることもあったかと思います。
「みのたけ」を勘違いすること、「感謝」を忘れること、
自分自身はそう思っていないと思っていても、
実際はそれが所作に滲み出てしまうこと、
人は誰しも欲深い生き物だと思います。
私が師事する稲盛和夫さんの盛和塾での学びの中のひとつに、
六波羅蜜があります。
あきないをするだけでなく、生きていく上で大切なこと、
布施(ふせ)、持戒(じかい)、精進(しょうじん)、忍辱(にんにく)、禅定(ぜんじょう)、知恵(ちえ)、
人はこの6つのうち、いくつを感じながら生きることが出来るのでしょうか。
人は脆く、儚く、欲深い生き物、だからきっとこの6つをすべて、
毎日実践することは難しいかもしれません。
今回、この万年筆、徳兵衛をつくるにあたって、
六波羅蜜に照らし合わせて、たくさんのことを考えました。
自分の、自社の置かれている環境、現状。
自分が、自分たちが表現したいことはなんなのだろう。
自分たちの志事を通じて、お客様に、社会に貢献できることはなんなのだろう。
たくさんのことに感謝をして、たくさんのことに反省をして、
本当に大切なことを夢見て、大切な志に思いを寄せて。
徳兵衛はそういう思いの中で生まれた万年筆です。
ささやかなことかもしれませんが、当社にとって、当店にとって、
徳兵衛を生み出せたことは、当社がこれから先、何年も、何十年も、
自分たちの志事をつないでいく、永続的発展を成し遂げていく、
第一歩なのだと思います。
益々の精進、そして、総鎮守様をはじめ、支えてくださる皆様、
応援してくださる皆様、ご来店くださるお客様、ご縁をいただいた皆様に心から感謝の意を表して。
夢をかたちに!
株式会社デルタ・ジムサービス
代表取締役 前田 武嗣